日本では見かけない報道写真

ボストン爆破テロに関する英語圏(たぶんアメリカ)の報道をネットで見てたら、両足を吹き飛ばされて骨が見えている男性(ジェフ・バウマンさん/ Jeff Bauman )が車椅子で運ばれている写真があった。
日本のマスコミではまず見ることがない衝撃的な写真で、少しくらくらした。

日本のマスコミはあからさま過ぎる写真にモザイクをかけたり、そもそも報道しなかったり、読者に優しい。
いや、読者だけでなく被害者にも優しいのかも。
自分の不幸をニュースとして消費されるのは結構な屈辱でもあるから、曖昧にぼかすマスコミのスタンスはそう悪くないとも思える。(両足を吹き飛ばされて車椅子に乗ってる姿を果たして私は不特定多数の人に見られたいか?と考えると、見られたくないと思う。)

実際、写真や映像は扱いが難しいメディアだと思う。

以前、ホッキョクグマの雄が血に染まった子熊の頭部をくわえた写真が「温暖化で飢え、子熊を襲った」という文章とともに紹介されているのを見たことがある。野生動物の間では、雌の発情を促すために、雌が連れている他の雄との子を別の雄が殺すことがよくあるということを知らなかったらそのまま信じてしまっただろう。

けれども写真や映像には文章では伝えられないものを伝える力がある。
ボストンの爆破事件がいかに酷かったか、今回の写真を見て私は初めて分かった。

この事件の酷さを私が知ったからと言って何かが変わるわけでもないし、知らなくても生活に支障はないし、むしろ知ったことで気分が落ち込んだが、いかに酷かったか分かったことは個人的に良かった気がする。

なぜかって、平和であたたかな守られた世界しか知らなかったら、自分の目の前で酷いことが起きた時に頭が真っ白になってとても対処しきれないと思うから。
酷い現実を見ることでそれに対処できるようになるわけではないけれど、少なくとも、自分の心が即死するリスクは減らせるんじゃないかな。