悲惨なこと

三國連太郎さんが亡くなられたというニュースを最初に見たときは、芸能情報に疎いのであまりぴんと来なかった。佐藤浩市さんのお父様という紹介で「あ、すごい人なんだ」と認識した。
確執があって父子は疎遠だったという記事に興味をそそられ、Wikipediaを開いた。
70年前に徴兵されて戦争に行かれていたエピソードにいちばん衝撃を受けた。
享年90歳。

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高齢者が多すぎてその価値が暴落している時代だけど、戦争に巻き込まれた世代の話を聞くとさすがに何も言えなくなってしまう。
「戦争に行った」とか「原爆に遭った」といったエピソードって、悲惨過ぎてその他ほとんどの苦労話を無効化する説得力を感じる。そんな経験をした上で生き抜いてきたあなた方はすごい、としか言えない。
戦争を経験した世代は世代間ギャップさえ正当化する理由を持っていた。

翻って、戦争が終わって生まれた世代は自分より下の世代を黙らせる説得力を持たない。昔はみんな貧乏で食べることで精一杯だったという苦労話を団塊世代の親から聞くことがあるけど、ふーんそうだったんだという感想しかない。苦労話と言っても悲惨さがないから気楽に聞き流せる。


・・・でもそれって結構悲惨なことだと思われて、その理由をあれこれ考えたんだけど、うまく説明できない。