それぞれの荷物
朝食を取っていたら、高校生平和大使の結団式についてNHKでやっていた。
「8月に国連欧州本部(ジュネーブ)を訪ね、「高校生1万人署名活動」で集めた署名を届ける」のだそうだ。
報道の中で、アメリカの高校生が放射能の恐ろしさについて何も知らないことに衝撃を受けた、という発言があって気になった。
日本は唯一核を落とされた国なのでその被害について小学校で必ず習うけど、他国で教材として扱われることは少ないだろうし、結果として他国の人間が知らないのは仕方ないと思う。
あるいは発言の主にしてみれば、アメリカは一方の当事者なのに、どうして無関心でいられるのか信じられないという話なのかもしれない。
でもこれは韓国の人が日本の「侵略」について非難するのと変わらない。
- 原爆についてのアメリカの主張
→原爆のおかげで戦争が終わった。戦争が続いていたら、もっと多くの被害者が出た。
- 朝鮮併合についての日本の主張
→併合のおかげで朝鮮は発展し、人口は増えた。併合していなかったら、ソ連や他国に侵略されて朝鮮の人はもっと酷い扱いを受けていた。
それぞれ被害者側から見ればとんでもない主張なんだけど、悲しいかな第3者では一理あると感じる人も少なくないと思う。
実にもどかしいが、国同士の間で起きたネガティブな出来事の評価なんてこんなもんだろう。
それに、放射能は確かに恐ろしいのだけど、アメリカの高校生にしてみれば氾濫している銃の方がよほど現実的かつ直接的に危機を覚える対象だろう。
それぞれの国がそれぞれの荷物を抱えている。
自分の抱える荷物についてアピールするのも大事なのだろうけど、相手の荷物についても配慮がないと、分かってもらうのはなかなか難しいだろうなぁと、そんなことを考えた。